富士フイルム株式会社(社長:助野 健児)は、バイオ医薬品*1の生産能力を拡大するため、バイオ医薬品CDMO*2の中核会社であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(以下FDB)の英国拠点に約90億円を投じて製造設備を増強します。本設備は、微生物培養によってバイオ医薬品の原薬を製造するためのもので、2022年以降の稼働を予定しています。
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バイオ医薬品は、副作用が非常に少なく高い効能が期待できることから、医薬品市場に占めるバイオ医薬品の割合は高まっています。現在、バイオ医薬品には、ホルモン製剤や抗体医薬品、遺伝子治療薬などがあり、それぞれの製造には、微生物培養や動物細胞培養、ヒト細胞培養などが用いられますが、非常に高度な生産技術と設備が必要とされるため、製薬企業やバイオベンチャーは優れた技術と設備を有するCDMOにプロセス開発や製造を委託するケースが急増しています。
富士フイルムは、バイオ医薬品のプロセス開発や製造の受託拡大に向けて、高効率・高生産性の技術開発に加えて積極的な設備投資を推進。現在、FDBの米国拠点に動物細胞培養タンクやヒト細胞培養設備など大規模投資を行い、抗体医薬品や遺伝子治療薬の受託能力を増強しています。また、微生物培養によるバイオ医薬品市場においても、30年以上にわたる受託実績と、業界トップクラスのたんぱく質産生効率などを実現する高生産性技術「pAVEway ™ (ペーブウェイ)」*3を強みに受注を拡大させています。
今回、富士フイルムは、新規顧客からの生産要請に加え、既存顧客からの増産要請にも対応するため、FDBの英国拠点に設備投資を行い、微生物培養によるバイオ医薬品の原薬の製造設備を増強します。具体的には、2,000リットル微生物培養タンク(2基)や精製設備などを備えた製造ラインを新設します。さらに、既存製造ラインのユーティリティ設備や精製プロセス設備なども増強することで、生産量を大幅に向上させます。尚、今回の設備投資により、英国拠点では、微生物培養による原薬の生産能力が、現状比約3倍となります。
富士フイルムは、ホルモン製剤や抗体医薬品、遺伝子治療薬、ワクチンなどあらゆる種類のバイオ医薬品の生産プロセスを開発し、少量生産から大量生産、原薬製造から製剤化まで受託できる強みを活かして、事業成長を図り、2021年度にバイオCDMO事業*4で売上高1,000億円を目指します。今後も、高品質な医薬品の安定供給を通じて顧客の新薬創出をサポートし、アンメットメディカルニーズへの対応など社会課題の解決、さらにはヘルスケア産業の発展に貢献していきます。
*1 低分子医薬品では実現できない作用を持つ、たんぱく質などの生体分子を活用した医薬品。インスリンや成長ホルモンの他に、ワクチン、抗体医薬品、遺伝子治療薬などを含む。
*2 Contract Development & Manufacturing Organizationの略。薬剤開発初期の細胞株開発から生産プロセス開発、安定性試験、治験薬の開発・製造、市販薬の製造までの幅広いサービスを製薬企業などに提供する。
*3 長年のバイオ医薬品の製造実績と独自ノウハウをもとにFDBが開発した技術で、微生物培養によるバイオ医薬品では業界トップクラスとなるたんぱく質産生効率と短期間でのプロセス開発を実現する。
*4 バイオ医薬品のみならず、低分子医薬品の開発・製造受託も含む。
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