フロスト&サリバン アジア太平洋地域が5G導入において欧州に先んじている理由を論説


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米国に本社を置くビジネスコンサルティング企業、フロスト・アンド・サリバン・ジャパン株式会社(所在地: 東京都港区、代表取締役:ロビン・ジョフィ)(以下、フロスト&サリバン ジャパン)は、「なぜアジア太平洋地域が5G導入において欧州に先んじているのか」についての論説を発表しました。
2025年までに、世界の5G接続の50%をAPAC地域と米国が占めると予測されています。EU諸国(EU)の場合、占める割合は30%です。[1] 世界のハイテク覇権争いにおいてEUは遅れを取っており、デジタル主権に関する政策はまだ漠然としています。
EUのデジタル主権を確立するための戦略は、海外のテック企業により厳しい規制を課し、EUのイノベーションを促進させることを目的としています。同様に、サイバー攻撃からのリスク緩和措置であるEUの「5Gツールボックス」では、EU加盟国にリスクの高いサプライヤーを段階的に排除していくための計画の立案を推奨しています。人工知能などのテクノロジーに関しては、EUの機関は規制を設けておらず、よってセキュリティおよびプライバシーに関する懸念が存在します。他の規制に関するモバイル事業者の主な懸念事項には、スペクトルの不足および価格の高さ、スペクトルの入札における過剰な必須要件などがあります。これらの全ての取り組みと展開からは、EUの規制の明確さが著しく欠けており、それにより同地域の5Gの進展を妨げていることを示唆しています。それに対しAPAC地域の多くの国々では、政府からの力強い介入と投資を受け、5Gの展開が加速しています。例えば韓国では、5G導入を押し進めるために政府が様々な関与を行い、最近では農村部への5G拡大を容易にするためのタスクフォースを立ち上げました。APAC地域では、国と業界の主要企業が密に協力し、5G展開の成功を実現するために重要な役割を担っているのです。
更に、EU、APAC両地域では、様々な異なる文化、多様な顧客層、異なる規制およびイノベーション政策が存在するため市場は非常に細分化されており、そのため官僚主義的対応が増加し、ビジネス面への対応が後手に回っています。この課題を解決するために、APAC地域では、サステナブルな5Gのエコシステムが拡大しており、モバイル事業者は異なる分野の企業との提携や投資、そしてインフラの共有などを進めています。この地域の業界を超えた協業の多くは、エコシステムをより結束させ、5Gの展開を促進させています。例えば、新型コロナのパンデミックによりヘルスケア市場において5Gの利用が加速し、タイの事業者であるAISは、医療機関に5Gを活用したロボットを設置し、新型コロナの患者に対して遠隔からケアを提供しています。5Gにより進化を遂げているAPAC地域のように、EUでも類似した課題を克服するために5Gのニーズは存在します。
EUの5Gのロードマップにおける明確さの欠如、スペクトルの不足、そして新型コロナの影響によりオンラインに限定され、スペクトル入札に時間を要していることも、EUにおける5G展開を停滞させました。イタリアとドイツは、5Gスペクトルの入札のアプローチについて批判を受けました。その批判には、産業グループに電波を確保し、残りのスペクトルのライセンス料の高騰につながったことも含まれます。イタリアの中スペクトル帯(3~5GHz)の1資本あたりのMHzあたりの価格は0.50米ドル(0.43ユーロ)と推定され、フィンランドなどの国と比べ10倍も高い価格です。[2] APAC地域でもスペクトルは高価格ですが、EUのような状況は一般的ではありません。インドでは、電気通信規制庁(TRAI)が提案した5Gスペクトルの基本価格に対し、通信事業者はTRAIと対立しました。規制機関の提案した、5GのためのMHzあたり6630万米ドルという価格[3]は、事業者にとってはあまりにも高すぎたのです。
EUとAPACの主な違いは、APAC諸国の規制機関は定期的にスペクトルの入札を実施し、スペクトルに関する計画および規制に関して、より高い透明性および可視性があることです。多くのAPAC諸国の規制機関は、現地の状況を考慮に入れています。例えばニュージーランドでは、モバイル事業者の財政不安のため、政府はスペクトルの直接割当方式を採りました。言い換えると、スペクトルを一定の金額で割り当てたのです。スペクトル割り当ての入札の成功により、APAC地域のモバイル事業者は、2019年後半に5Gネットワークを構築することが可能になりました。2019年時点で、27のEU諸国ではまだ中スペクトル帯の割り当てが出来ておらず、韓国および中国における5G展開は世界で先駆けた事例となりました。このスペクトル帯は韓国、中国ではそれぞれ2018年6月および2019年にすでに割り当てられました。適時にこのスペクトル帯の利用を実現する明確な計画が、EU諸国のモバイル事業者の投資と行動を促し、迅速に新たな5Gサービスを立ち上げるためには不可欠です。
インフラの展開においては、EUではまだ100万人あたり10か所の5G基地局しか整備されていません。それと比較して、韓国は100万人あたり1500の基地局があります。更に、EUは4G基地局のわずか1%しか5Gへ増強しませんでした。韓国のその率は99%です。インフラ開発不足の原因の一部は、多くのEU諸国での4G展開の遅れからくるレガシーとも言えます。2019年時点で、EUの4Gネットワーク契約者のシェアは70%であり、90%近くである中国や韓国と比べ著しく低いシェアです。[4] この違いによりEUは、5Gへ進む前に中国、韓国と比べ更なる努力が必要となるでしょう。
EUにとって更に悪いことに、無線放射の人体に対する副作用の可能性が、5Gテクノロジーに対する懸念と恐れを生み出しました。携帯電話の信号など電磁波に関連した様々な健康問題が、電気過敏症に悩まされていると主張する個人から報告されています。例えばスイスでは、強化された4Gネットワークである標準的な5Gネットワークで国の90%がカバーされており、人口のおよそ10%が電気過敏症であると言われています。このため、本物の5Gネットワークに対して抗議および制限が行われ、5G展開が妨げられました。APACでは、政府機関がこれらの課題に迅速に取り組みました。オーストラリアでは、5G展開により新型コロナの拡散が加速するという懸念がありました。しかし、オーストラリア放射線防護・原子力安全庁(ARPANSA)は、5Gおよび他の通信システムは人体免疫システムに影響を与えないことを発表し、国民を安心させました。
欧州委員会の5Gアクションプランに基づき、EUは2020年末までにすべての加盟国において5Gサービスを立ち上げ、2025年までに都市部および主要道路を途切れなく5Gネットワークでカバーすることを目標としました。しかし、2020年、EU諸国はまだ5Gの商業化およびインフラの両面でAPAC地域に遅れをとっています。これは不明確な法規制および制限、地政学的課題、利用可能なスペクトルの不足などが原因です。新型コロナの影響も重なり、2021年に突入しても、EU諸国の消費者および企業にとって4Gは主要テクノロジーであり続けるでしょう。2020年11月に実施された調査はこれを更に裏付けることになりました。61%のEUの消費者は、2021年にインターネットサービスをアップグレードするつもりはないと予測されているのです。この結果は、企業向け5G展開の遅れに加え、2021年の5G導入の見通しを暗いものにします。
新型コロナによるデジタルトランスフォーメーションの加速により、EUがなぜ直ちに5G導入に投資する必要があるのかに注目が集まりました。EUには、将来5G導入により恩恵を受ける強力な産業が存在します。よって、5Gに対してより調和のとれたアプローチと、この分野への将来の投資と開発をもたらすための適切な法規制上のインセンティブが必要です。5Gが、EUの未来を形づくる様々な破壊的テクノロジーを実現するかはまだ分かりません。しかし、EUがAPACと同じペースで進化するためには、進化を妨げる惰性を小さくする必要があることは明らかです。
[1]Garrigues, https://www.garrigues.com/en_GB/garrigues-digital/5g-rollout-runs-problems-europe, accessed on November 5, 2020
[2] ERT, https://ert.eu/wp-content/uploads/2020/09/ERT-Assessment-of-5G-Deployment-Status-in-Europe_September-2020.pdf, accessed on November 5, 2020
[3] The Economic Times, https://economictimes.indiatimes.com/industry/telecom/telecom-news/5g-prices-may-be-cut-to-offer-relief-to-telcos/articleshow/77231032.cms?from=mdr, accessed on November 6, 2020
[4] ERT, https://ert.eu/wp-content/uploads/2020/09/ERT-Assessment-of-5G-Deployment-Status-in-Europe_September-2020.pdf, accessed on November 5, 2020


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【著者】SOFEA ZUKARNAIN
ソフィア・ズカルナインは、アジア太平洋地域のICT分野のリサーチアソシエイト。5G、通信、モバイル決済を専門とする。


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フロスト・アンド・サリバンについて


フロスト&サリバンは独自のリサーチに基づいて企業のビジネスを成長に導くグローバルな知見を提供し、ビジネスの新たな成長機会の創出からイノベーションの実現までを支援する、リサーチとコンサルティング機能の両方を兼ね備えた企業のナレッジパートナー。世界40拠点以上のグローバルネットワークを軸に、世界80カ国ならびに300に及ぶ主要な全てのマーケットを網羅することで、メガトレンドや海外新興市場の台頭、テクノロジーの進化などのグローバルな変化に対応し、企業がグローバルなステージでビジネスを成功させるための360度の視点に基づいた知見を提供しています。


フロスト・アンド・サリバン・ジャパン株式会社


設立:2014年1月
沿革:2009年3月 日本支社「フロスト&サリバン インターナショナル」設立
2014年1月 日本法人「フロスト&サリバン ジャパン株式会社」設立
代表者:ロビン・ジョフィ(代表取締役)
所在地:〒107-6123 東京都港区赤坂5丁目2番20号 赤坂パークビル23階
URL: https://frost.co.jp/


本リリースに関するお問い合わせ


フロスト・アンド・サリバン株式会社PR事務局(SivanS株式会社内)
担当:ジャガーナウス・下村
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