パーキンソン症状をともなうレビー小体型認知症(DLB)に対する治験計画を策定

株式会社上山製作所(本社:千葉県船橋市、代表取締役:霜鳥良雄、以下「当社」)は、パーキンソン症状をともなうレビー小体型認知症(DLB)患者を対象とした、超音波治療機器(開発コード:KMY-22、以下「本機器」)による治験(検証試験)を計画しましたのでお知らせいたします。2025年1月より開始予定です。国内10の医療機関の内諾を得て、約70名の患者を登録し、精度の高いデータ収集を行います。

本治験では、既存の薬物療法における症状のコントロールが困難なDLB患者を対象に、実刺激機器を使用する治療群と、シャム刺激機器(外観上は同じで超音波出力を微弱に調整した機器)を使用する対照群を比較し評価します。主要評価項目は、治療12週後のパーキンソン症状(MDS-UPDRS partIII)とし、副次評価項目として、行動・心理症状(NPI-Q重症度)等の有効性、安全性を設定しました。

この治験は、DLB患者の運動機能改善と生活の質向上のための新たな非侵襲的治療アプローチの可能性を検証するものです。当社は、複数の医療機関とプロジェクト企業の協力を得て、患者のための新たな選択肢となる医療機器を誕生させたいと考えています。


■開発経緯
当社は2004年、国民的スポーツ選手の脳疾患リハビリから着想を得て、脳内を微弱な波動でマッサージする長波超音波に着目し、脳の血流と脳機能の活性化を促進する治療機器の開発に着手しました。

<基礎研究とパイロット試験(2013年8月~2015年9月)>
・頭蓋骨モデルを使い、超音波頭部マッサージ器で用いる超音波振動子の強度と頭蓋内音響分布を測定し、安全レベル強度の計測試験を繰り返しました。
・その結果、イルカが発する30kHzの周波数帯で微弱な振動(2ミリワット/cm2以下)を初老期の健常人に20分間照射することにより脳血流が約15%増加したことが確認されました。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/413014/LL_img_413014_1.png
頭部・超音波刺激ヘアーバンド

<特定臨床研究(2019年5月~2021年5月)>
・故小阪憲司先生(世界で初めて脳内・異常蛋白質が原因となるレビー小体型認知症を報告、横浜市立大学名誉教授・精神科医)のご指導のもと、神奈川歯科大学附属病院 認知症・高齢者総合内科 眞鍋雄太教授とともに、中等度のDLB患者に対して特定臨床研究を実施した結果、特に運動機能障害の顕著な改善が認められました。(下記画像参照)
・DLB治療の問題点として、幻視・幻聴・妄想や運動機能障害をともなうため、他の認知症に比べて介護者に大きな負担をかけることが指摘されています。この問題についても、患者のQOL向上にともなって介護者の負担が減少することが確認されました。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/413014/LL_img_413014_2.png
【画像】経頭蓋微弱超音波振動刺激装置による刺激前後における脳内血流のSPECT画像

上記の経緯を経て、2021年10月、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)より、本機器の有効性と安全性についての対面助言を得ました。今回の治験計画では国内10施設の病院施設が参加の予定であり、再度PMDAからの対面助言を得て治験実施となります。


■専門家の見解
前掲の特定臨床研究をともに手がけた眞鍋雄太教授は、「レビー小体型認知症は、神経病理学的背景を故に多様な症状を呈する神経変性疾患であり、患者および介護者のQOLを著しく損なう認知症性疾患です。同社が開発した超音波治療機器は、探索的研究の結果から、脳血流への作用を介してパーキンソニズムの改善に寄与する可能性が示唆されています。
同機器は、既存薬物治療への補完治療として大いに期待されるところです。治験を実施するにあたり、多くのご施設にご参加いただき、エビデンスの創出とその成果を患者および介護者へ還元できるようお力添えを頂戴したく存じます」と述べています。


■今後の展望
2024年1月1日に「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が成立・施行されました。本機器はDLBの症状改善もしくは進行を抑制し、薬剤と併用して治療効果を高め、共生社会の実現をより推進できると考えています。

本機器は、入所施設や在宅で使用ができることから、その意義は高いと考えられます。今回の治験を通じて、より多くの医療機関や研究者の皆様と協力しながら、DLBに苦しむ患者の未来を支える新たな治療の選択肢となるよう努めてまいります。また、家族や介護者にとって負担の軽減につながる選択肢を提供して参ります。


■レビー小体型認知症(DLB)について
現在DLB患者は約50万人と推計されています。DLB患者では、脳の細胞に蓄積するアミロイドβやαシヌクレインの血液検査やPETによる画像所見が報告され、これらにより診断は可能となりましたが、現在、確実な治療法はなく、薬剤による対処療法が主流になっています。日本国内における認知症患者数は2030年に532万人に達すると予測されており、DLB患者も増回傾向にあります。高齢者の医療負担や介護負担などを減らすため、DLBに対する新たな治療法が社会からも強く求められています。


■上山製作所について https://www.worldbrain.jp/2024/10/11/835/
長寿社会における健康寿命の延伸に貢献する医療機器や健康機器の開発・製造・販売を行う。運動機能の回復や認知症予防のための血流維持に効果的であるといわれる超音波機器等を展開。疲労回復や血流改善などの効能を得られるとして、自由診療での認知症予防外来クリニックおよび鍼灸院などへ多くの納入実績がある。


■本プレスリリースへのアクセス
https://www.worldbrain.jp/wp-content/uploads/2024/10/20241015_press-release.pdf


<本件に関するお問い合わせ先>
株式会社ワールドブレイン(広報担当)
kamiyama-info@worldbrain.jp


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