佐伯祐三「雪景色」、約90年ぶりに一般公開

関西経済同友会 企業所有美術品展実行委員会は、2021年1月30日(土)から2月13日(土)に開催する「なにわの企業が集めた絵画の物語」展で、大阪出身の画家、佐伯祐三の「雪景色」の展示が決定しました。本作品は、約90年ぶりの一般公開となります。
佐伯祐三(1898ー1928)は大阪(大阪市北区中津)出身の洋画家です。画家を志して上京し、藤島武二の指導を受けたのち東京美術学校西洋画科に入学しました。卒業後渡仏し、ヴラマンクやユトリロに影響を受けながらパリ市街を題材にした作品を多く描きました。1926年に帰国して一九三〇年協会を結成するものの日本の風土と自らの芸術の不一致を感じ、翌年には再びフランスに制作の場を移しますが、結核と神経衰弱の悪化により、パリ郊外の精神病院で短い生涯を閉じました。
「雪景色」は佐伯祐三が1926~27年にかけてフランスから一時帰国した際に描いたものです。佐伯は大大阪時代の大阪の街の様子を「肥後橋風景」などに残しています。一方、アトリエのあった東京・下落合(新宿区)の風景も30点ほど描いていますが、これはそのうちの1点で、雪が降った翌朝の光景を描いています。雲の間から差し込む太陽の光に、家々の屋根に積もった新雪が眩しく輝いています。ヴラマンクを彷彿させる素早い筆致で、冬の朝の凛とした空気感を伝えています。
本作品は、佐伯が没した翌年(1929年)に大阪で開かれた追悼展に出品されたことが確認されていますが、それ以降は所在不明でした。今回の「第3回なにわの企業が集めた絵画の物語展」で、約90年ぶりの一般公開が実現します。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/239682/img_239682_1.jpg
佐伯祐三 「雪景色」 1927年頃

企画コーナー「大大阪の時代」では、大阪が東京を超える近代都市として栄えた大正から昭和初期にかけての美術作品を特集して展示します。
大正14年(1925年)、大阪市は第2次市域拡張で日本最大の都市「大大阪」に膨張しました。御堂筋や地下鉄などのインフラが建設され、大阪商科大学(後に大阪市立大学)の開校や、大阪市立美術館が開館します。昭和6年(1931年)には市民の寄付で大阪城天守閣が復興しました。また、中之島にはモダンな都市空間が出現しました。佐伯祐三の《肥後橋風景》では、朝日新聞社、大阪中央郵便局、日本銀行大阪支店、大阪市庁舎など発展する「大大阪」の姿が描かれています。ほかにも、ガスビルの図面や、大阪朝日新聞社の模型など、貴重な建築資料を公開し、大大阪時代の繁栄を振り返ります。
関西経済同友会では、大阪・関西企業が所有する美術品を広く一般市民に対して公開し、特に次世代を担う子どもたちへの鑑賞教育に役立てることを目的とした本美術品展を、2018年より有志企業の協力を得て実施してきました。第1回目は2018年10月4日(木)〜18日(木)、第2回は2020年1月24日(金)〜2月15日(土)に実施し、今回が第3回目の開催となります。


【ご参考】
・佐伯祐三 「雪景色」 油彩・キャンバス 1927年頃 (所蔵:非公表)

企画コーナー「大大阪の時代」(一部)
◆絵画作品
・佐伯祐三 「肥後橋風景」 油彩・キャンバス 1926~1927年
(所蔵:朝日新聞社)
・小出楢重 「周秋蘭立像」 油彩・キャンバス 1928年
(所蔵:株式会社ロイヤルホテル)
・安井曾太郎 「薔薇」 油彩・キャンバス 1934年
(所蔵:株式会社ロイヤルホテル)

◆まちにある大大阪時代のモダンアート
<映像紹介(一部)>
・ 大阪市中央公会堂特別室 1918年11月オープン 天井画・壁画
・ 難波橋 ライオン像
・ フェスティバルホール壁面のレリーフ

大阪市各所のモダンアートをドローンで巡り撮影した動画を会場で放映します。

■美術展概要
美術展名 コーポレート・アート・コレクション
第3回「なにわの企業が集めた絵画の物語」展
主 催 関西経済同友会 企業所有美術品展実行委員会
会 場 大阪府立江之子島文化芸術創造センター
(大阪メトロ「阿波座駅」8番出口徒歩3分)
期 間 2021年1月30日(土)〜2月13日(土) 10時~18時
※月曜休館
展 示 関西企業が所有する身近な芸術作品(絵画作品 45点)
入場料 大人500円/中学生以下無料
URL https://corporate-art-collections.com/


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プレスリリース提供元:@Press
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