「ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所」(※以下、IBS)<東京都新宿区 所長:大井静雄>ではグローバル化社会における幼児期からの英語教育の有効性や重要性に関する情報を定期的に発信しています。「幼稚園でイマージョン教育」がうまくいくために必要なことは? 〜フェリシアこども短期大学 橋元知子准教授のインタビュー記事を公開しました。
<記事まとめ>
●幼稚園でのイマージョン教育※1は、本来の定義に基づくと、幼児教育の指針で示されている5領域と「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」を目指した保育・教育の中で英語が使われることだと考えられる。
●子どもの発達が第一、英語のインプットやアウトプットはその次、という保育者の意識が大切。先生や友だちと良い関係であることは、子どもが自分から「英語を話したい」と思う要因の一つである。
●保護者は、子どもの発達を第一に考えること、英語習得には個人差があること、過度な期待をしないことを忘れずに、子どもの様子を見守ることが大切。
●今後の保育者にとって重要なことは、外国語や異文化理解など、+αのスキルを身につけるために学び続けることであり、国際的に活躍できる保育者の養成も徐々に進んでいる。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/356739/img_356739_1.jpg
※1 イマージョン教育:外国語を手段(ツール)として教科(算数、社会など)を学ぶ教育 (Lyster & Genesee, 2019)
■ 英語教育を実施する幼稚園・保育所は増えている!
私立の幼稚園や認定こども園のうち6割強が通常保育時間内で英語活動を実施していることがわかっています(ベネッセ教育総合研究所2019年の調査)。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/356739/img_356739_2.jpg
橋元先生によると「OECD(2020)の調査によると、日本の未就学児(就学前教育を受けている子ども)10人のうち7人は私立に通っているので、けっこうな割合の子どもたちが幼児期に何らかの形で英語教育を受けているのではないかと思います」といいます。
ベネッセ教育総合研究所(2019)の調査では、「知的教育を増やしてほしい」「保育終了後のおけいこごとをやってほしい」という保護者から園への要望が年々増えており、今後も英語教育を実施する幼稚園や保育所は増えると橋元先生は予想します。
■ 附属幼稚園のイマージョンクラスの子どもたちは自発的に英語を発話!
橋元先生は、2017年に始まったフェリシアこども短期大学附属幼稚園での「イマージョンクラス」設立に関わりました。先生たちから「幼児期の英語学習はそんなに必要ないのではないか」という意見もあるなか、子どもたちが徐々に変わっていく様子を見て、「イマージョンクラスが園にあるのは良いことだ」と気づいていったと言います。また、イマージョンクラスでは、保育者があまり関わっていない遊び時間のほうが、子どもたちが自発的に英語を発する場面が多いと感じたといいます。5歳児クラスの女の子がほうきを持って掃除しながら “I'm cleaning up!”と言うと、ほかの子どもたちが “Me too!” と加わり、おままごとのような遊びがスタート。英語をみんながどんどん自発的に使い始めました。
「誰からも強要されずに自分たちで遊んでいる」「自分たちが扱える範囲の英語を使っている」「お友だちとの良い関係性」という状況から、内発的動機づけを高めるために必要な三つの基本的な心理欲求※2が満たされていることがわかりました。
※2 自分の学習に関することは自分で決めたいという欲求(自律性)、学習で求められる目標を達成できることへの欲求(有能性)、自分の学習する環境に関わる人と良い関係でいたいという欲求(関係性)の3つ。
■ まとめ:イマージョン教育は効果的な英語教育のアプローチの一つ
今回の取材により、幼稚園でのイマージョン教育は、効果的な英語教育のアプローチの一つである可能性が見えてきました。イマージョン教育の成果は、「英語が身についているかどうか」よりも「他者を理解・尊重する気持ちが身についているかどうか」という異文化理解の視点で見ることが重要です。グローバル化が進んでいるいま、心地よく生活したり自分の道を切り開いたりしていくためには、外国語を使えることは、ことば以上に、他者と良い関係性を築く力や人間性が重要だと思われます。(取材:IBS研究員 佐藤 有里)
【Profile】
フェリシアこども短期大学 国際こども教育学科/専攻科 橋元 知子 准教授
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/356739/img_356739_3.jpg
専門は、第二言語習得論、英語教育学。主な研究テーマは、動機づけ、協同学習について。町田市教育委員会主催 中学校英語教育 プロジェクトメンバーなどを経て、2022年度より現職。
※詳しい内容はIBS研究所で公開中の記事をご覧ください。
前編 https://bilingualscience.com/english/2023051701/
※幼稚園でイマージョン教育を実践するうえで保育者や保護者に求められることについては、「後編」で詳しく記されています。
後編https://bilingualscience.com/english/2023052501/
■ワールド・ファミリーバイリンガル サイエンス研究所
(World Family's Institute of Bilingual Science)
事業内容:教育に関する研究機関
HP(https://bilingualscience.com/)
Twitter( https://twitter.com/WF_IBS )
所 長 :大井 静雄
脳神経外科医・発達脳科学研究者ドイツ・ハノーバー国際神経科学研究所
(INI)小児脳神経外科名誉教授・医学博士
所 在 地 :〒160-0023 東京都新宿区西新宿4-15-7
パシフィックマークス新宿パークサイド1階
設 立 :2016年10 月
詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press