射出成形機の世界市場規模:2026年は10140百万米ドルに達する見込み

射出成形機とは
射出成形機は、樹脂などの成形材料を加熱・溶融し、金型へ射出した後、冷却・固化させることで所定形状の部品を量産する設備であり、自動車、包装、電子機器、医療、消費財など幅広い産業を支える基盤装置である。現在は単純な生産能力だけでなく、電動化、省エネルギー、AI・自動化、インダストリー4.0への対応力が、設備投資を判断する重要な指標となっている。

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図. 射出成形機の世界市場規模
QYResearch調査チームの最新レポート「射出成形機―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」によると、射出成形機の世界市場は、2025年に10010百万米ドルと推定され、2026年には10140百万米ドルに達すると予測されています。その後、2026年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)1.4%で推移し、2032年には11020百万米ドルに拡大すると見込まれています。

射出成形機の高精度化とスマート化が進展
射出成形機は、製品の微細化・軽量化・高機能化に対応するため、射出速度、圧力、温度などを高精度に制御できる方向へ進化している。特に電子部品や医療機器などでは、わずかな成形条件の変動が寸法精度や外観品質に影響するため、リアルタイム監視と自動補正の重要性が高まっている。

2026年には、こうしたスマート成形の進展がより明確になっている。例えばENGELは、AIを活用した「inject AI」を通じて、成形条件を自動調整し、材料粘度などの変動に対応するシステムを展開している。同社によれば、iQ weight controlは成形品重量のばらつきを最大85%低減できるほか、iQ clamp controlでは型締力を自動最適化し、エネルギー消費や金型負荷を抑制できる。

さらに、2026年1月のSwiss Plastics Expoでは、AIを組み込んだ自律型射出成形セルが紹介され、成形条件の自動制御、材料使用量の最適化、スクラップ削減、段取り時間短縮などが実証された。これは射出成形機が「作業者が設定した条件を再現する設備」から、「生産状態を分析し、自律的に条件を最適化する設備」へ移行していることを示す。

電動式射出成形機と省エネルギー技術が普及
環境規制の強化やエネルギーコスト上昇を背景に、射出成形機では電動化が重要な技術トレンドとなっている。全電動式はサーボモーターによる高精度制御が可能で、必要な動作時にのみエネルギーを消費できるため、油圧式と比較して省エネルギー性、清浄性、メンテナンス性に優れる。特に医療、電子部品、精密包装など、高い再現性が求められる分野で適性が高い。

2026年4月にはENGELが全電動式WINTEC e-winのグローバル展開を開始し、シリーズ生産における精度、安定性、コスト効率を訴求している。さらに6月のFIP 2026では、制動エネルギーの回収機能を備えた全電動式「victory electric 220」などを披露し、成形機単体ではなく生産セル全体でエネルギー消費と単位コストを低減する方向性を示した。

自動車・電子機器・包装が需要を牽引
射出成形機市場の主要な成長要因は、自動車、包装、消費財、電子機器などにおけるプラスチック部品需要の拡大である。自動車産業では、燃費向上や電動化に伴い、軽量かつ複雑な樹脂部品の採用が進んでいる。EVではバッテリー周辺部品や電装部品など、新たな成形需要も生まれている。

電子機器では、小型化・高密度化に対応する微細成形技術が重要となる一方、包装分野では大量生産と短サイクル化が設備性能を左右する。医療分野では、微小部品を高い再現性で生産する精密成形に加え、クリーン環境への適合性も求められる。このように用途ごとに要求仕様が細分化しており、汎用品から高付加価値機まで製品ポートフォリオを広げることがメーカーの競争力につながっている。

また、カスタマイズ需要の高まりにより、金型交換や生産条件の切り替えを短時間で実施できる柔軟性も重要になっている。自動化ロボットや品質検査装置との連携を含め、成形、搬送、検査までを一体化した生産セルへの需要が拡大している。

大型化とAI統合が新たな市場競争軸に
2026年3月、ENGELは型締力11万kN(約1万2,364米トン)の「duo 12000 US」を発表した。同機は投影面積2.5m2を超える大型部品を対象とし、自動車、モビリティ、インフラなどで大型樹脂部品を効率的に生産するための技術基盤となる。大型部品の一体成形によって組立工程を削減し、金属やコンクリートから樹脂への材料置換を促す可能性もある。

今後の射出成形機市場では、大型化と精密化が同時に進む一方、AIによるプロセス最適化、ロボットによる自動搬送、IoTによる設備監視、デジタルツインによる生産シミュレーションなど、装置とソフトウェアを融合したスマート製造が競争力を左右すると考えられる。

世界市場は上位企業への集中が進む
世界の射出成形機主要メーカーには、Haitian International、ENGEL、KraussMaffei、ARBURG、住友重機械工業、FANUC、Yizumi、Husky、Milacron、芝浦機械などが挙げられる。2023年時点で、世界上位10社が売上高ベースで約69.0%のシェアを占めており、主要企業による市場集中度は高い。

今後は、単純な成形能力や設備価格ではなく、省エネルギー性、AI・自動化、成形精度、金型・ロボットとの統合、保守サービスを含む総合的な生産性が重要になる。特に人手不足と熟練技術者不足が深刻化する市場では、AIによる条件設定や異常検知によって「熟練者の経験」を設備側へ移植することが、導入効果を左右する。したがって射出成形機は、今後の製造業において単なる樹脂加工設備ではなく、品質・エネルギー・人員・コストを統合的に最適化するスマートファクトリーの中核設備へと進化していくとみられる。

本記事は、QY Research発行のレポート「射出成形機―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」に基づき、市場動向および競合分析の概要を解説します。
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https://www.qyresearch.co.jp/reports/1610868/injection-molding-machinery

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