中小製造業の60%が「納品後に想定利益を下回った案件」を経験、65%は原価差異を次回見積へ十分に反映できず アスタが20社を調査

中小企業向けAI導入・活用支援を行う株式会社アスタ(代表取締役:小路雅也)は、受注生産または多品種少量生産を行う、従業員10~200名の中小製造業20社の経営者・原価管理責任者を対象に、「中小製造業における見積原価と実績原価に関する調査」を実施しました。

調査の結果、「納品後に、当初の想定より利益が少なかったと判明した案件がある」と回答した企業は20社中12社(60%)、「見積原価と実績原価の差を、次回以降の見積へ十分に反映できていない」と回答した企業は13社(65%)となりました。

また、14社(70%)が「見積時に想定した工数を、実際の作業時間が上回る案件がある」、11社(55%)が「見積金額の根拠が特定担当者の経験に依存している」と回答しました。

中小製造業では、見積を提出して受注するまでの業務だけでなく、受注後に発生した材料費、作業時間、外注費、不良・手直しなどを振り返り、その結果を次の見積へ戻す仕組みが利益を左右します。今回の調査から、見積と実績の差を把握していても、原因を整理し、次回の価格や工数へ反映する運用が十分に定着していない実態が分かりました。

※本調査は中小製造業20社を対象とした小規模調査です。国内の中小製造業全体の傾向を示すものではなく、参考値としてご覧ください。

【調査背景】

受注生産や多品種少量生産を行う製造業では、図面、仕様、材料、加工工程、数量、納期などの条件をもとに、案件ごとに見積を作成します。

しかし、見積時には想定できなかった追加作業、不良・手直し、段取り変更、材料価格の変動などが発生し、納品後に実績工数や原価が見積を上回ることがあります。

見積と実績に差が生じても、案件終了後の振り返りを行わなかったり、結果が営業、製造、購買、経理の各部門に分散したりすると、同じ見積条件や判断が繰り返されます。その結果、売上は確保できても、想定した利益が残らない案件が積み重なる可能性があります。

株式会社アスタの製造業AI活用支援では、大がかりな基幹システムの刷新を前提とせず、過去の見積書、作業実績、不良・手直し記録、購買・外注費など、各社がすでに保有する情報から改善テーマを整理します。

今回、見積原価と実績原価の差、振り返りの実施状況、次回見積への反映状況を確認するため、中小製造業20社に調査を実施しました。

【調査結果1】60%の企業が「納品後に想定利益を下回った案件」を経験

「過去1年間に、納品後または案件終了後に、当初の想定より利益が少なかったと判明した案件があるか」を尋ねたところ、20社中12社(60%)が「ある」と回答しました。

主な要因として、以下が挙げられました。

・見積時に想定した工数を実際の作業時間が上回った
・不良、手直し、再検査が発生した
・材料費、外注費、運送費が見積時より増加した
・仕様変更や追加対応を価格へ反映できなかった
・小ロットや特急対応による負荷を十分に見積もれなかった

利益が想定を下回った事実を把握していても、どの工程・条件で差が生じたのかを整理できなければ、次回見積の改善にはつながりません。

【調査結果2】70%の企業で、見積工数を実績工数が上回る案件が発生

「見積時に想定した工数を、実際の作業時間が上回る案件があるか」を尋ねたところ、20社中14社(70%)が「ある」と回答しました。

工数超過が発生する主な場面として、段取り、検査、手直し、仕様確認、設備トラブルへの対応などが挙げられました。

加工そのものの時間だけを見積もり、前後に発生する確認、移動、段取り、再作業などを十分に計上できていない場合、受注時点では利益が見込める案件でも、実際には利益率が低下する可能性があります。



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【調査結果3】65%の企業が、原価差異を次回見積へ十分に反映できていない

「見積原価と実績原価の差を、次回以降の類似案件の見積へ十分に反映できているか」を尋ねたところ、20社中13社(65%)が「十分には反映できていない」と回答しました。

反映できていない理由として、以下が挙げられました。

・案件ごとの実績工数を集計するのに時間がかかる
・見積書と作業実績が別のExcelやシステムで管理されている
・差が生じた理由を記録する項目が決まっていない
・振り返りの担当者と実施時期が明確でない
・過去の差異を検索できず、担当者の記憶に頼っている

見積と実績を比較するだけでなく、「なぜ差が生じたのか」「次回は何を変えるのか」まで残す運用が必要です。

【調査結果4】55%の企業で、見積根拠が特定担当者の経験に依存

20社中11社(55%)が、「見積金額や想定工数の根拠が、特定担当者の経験や記憶に依存している」と回答しました。

ベテラン担当者は、図面や仕様を見た時点で、加工上の難所、追加検査の可能性、外注が必要な工程などを予測できます。一方、その判断根拠が記録されていなければ、他の社員は同じ水準で見積を作成できません。

担当者が不在の場合に見積回答が遅れるだけでなく、担当者によって価格や想定工数がばらつき、案件ごとの利益率が安定しにくくなります。

【調査結果5】見積精度の改善でAIを活用したい工程、最多は「過去見積と実績の照合」75%

見積精度の改善に向けて、AIを活用したい工程を複数回答で尋ねたところ、以下の結果となりました。

・過去見積と実績工数、実績原価の照合:15社(75%)
・類似案件、過去見積の検索:14社(70%)
・図面、仕様書から見積条件を整理:13社(65%)
・原価差異が生じた要因の分類:12社(60%)
・次回見積へ反映する注意点の整理:11社(55%)

AIに見積金額の最終決定を任せるのではなく、分散している情報の整理、類似案件の検索、差異要因の分類、見積担当者が確認するための材料づくりに活用したいという意向が多く見られました。

【株式会社アスタの見解】

製造業の見積改善では、回答を速くすることだけでなく、見積時に想定した利益を、納品まで守れるかという視点が重要です。

見積作成を効率化しても、受注後に発生した追加工数、不良・手直し、材料費の変動が次回の見積へ反映されなければ、同じ利益の取りこぼしが繰り返されます。

まずは、すべての原価項目を精密に管理しようとするのではなく、利益への影響が大きい製品や案件を一つ選び、見積工数と実績工数、見積材料費と実績材料費など、比較できる項目から始めることが現実的です。

AIは、過去の見積書と実績データの照合、類似案件の検索、差異要因の整理、次回見積へ反映する注意点の下書きに活用できます。

一方、加工条件、設備負荷、顧客との取引条件、品質保証などを踏まえた最終的な価格と受注判断は、責任者が行う必要があります。

株式会社アスタでは、経営者、見積担当者、製造現場、経理・原価管理担当者の認識を整理し、既存データの確認、対象業務の選定、AIを活用する工程と人が判断する工程の設計、運用・定着までを支援しています。

【調査概要】

調査名称:中小製造業における見積原価と実績原価に関する調査
調査対象:受注生産または多品種少量生産を行う、従業員10~200名の中小製造業の経営者・原価管理責任者
有効回答数:20社
調査期間:2026年10月15日~2026年10月26日
調査方法:オンラインアンケート
調査主体:株式会社アスタ

※複数回答の設問を含みます。
※回答内容は各社による自己申告です。
※本調査における「見積原価」は、受注前に想定した材料費、作業工数、外注費等を指します。「実績原価」は、受注後に実際に発生した材料費、作業工数、外注費等を指します。
※本調査は中小製造業20社を対象とした小規模調査です。国内の中小製造業全体の傾向を示すものではなく、参考値としてご覧ください。

【株式会社アスタについて】

株式会社アスタは、中小企業に特化したAI導入・活用支援を行うコンサルティング会社です。企業ごとの業務や組織の状況を確認し、AI活用テーマの整理、業務改善、製造現場への活用、運用ルールの整備、社内推進体制の構築などを支援しています。

会社名:株式会社アスタ
代表者:代表取締役 小路 雅也
支店所在地:東京都港区北青山一丁目3番1号
事業内容:
・中小企業向けAI導入・活用支援
・中小企業向けAI業務改善
・製造業AI活用支援
・AI推進部代行

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